INTERVIEW

職人図鑑 #29 西澤英明(38歳)

経験を積むごとに、塗装という仕事の奥深さを感じています

Nishizawa Hideaki(age38)

Nishizawa Hideaki(age38)

西澤塗装代表 1981 年7月13 日、茨城県生まれ。中学卒業後、土木作業員、瓦職人を経て、18 歳で塗装業に就き、同時に授かり婚。経験1年で独立。現在は1男2女の父。昨年4 月から、長男が弟子として働いている

Chapter 1

瓦職人から塗装職人に 転職しようと思った理由

 18歳で塗装の仕事に就きました。中学卒業後、土木作業員を経て、2年間、瓦職人をやっていたんですが、仕事の現場で塗装職人の働きぶりを見て、自分もやりたいと思ったんです。子供の頃から勉強が嫌いだったので、建築土木関係の仕事をしようと考えていましたが、瓦職人の現場は1か月、2か月くらいかかるんですけれど、塗装は町場の現場でしたら、2週間程度ですからね。

 新しい現場で次々と仕事ができれば、勉強にもなりますし、新鮮な気持ちで仕事に取り組めると思った。仕事としても、見た目がわかりやすく、きれいになることもいいなあと思いました。

 当時、頭は金髪、赤いだぼだぼのニッカボッカとか穿いて、瓦葺きの仕事をしていたんですよ。自分はヤンキーというわけではなかったんですけどね(笑)。それで、親方に「お客さんの身になって考えてみろ」と怒られて……若気の至りというか、いま考えると恥ずかしいですが、親方に反発する気持ちになってました。

 そもそも、瓦職人の作業着は地味なんですが、塗装職人はペンキで汚れることで、仕事着も鮮やかな色彩と感じたことも大きかったかもしれません。そんなこんなで、塗装の仕事をやってみることにしようと思ったんです。

Chapter 1 瓦職人から塗装職人に 転職しようと思った理由 Chapter 1 瓦職人から塗装職人に 転職しようと思った理由

Chapter 2

自分の仕事に誇りがあるから、基本的に相見積をしていません

 20年前に比べて、お客さんたちの目も肥えてきました。というか、ネットで何でも調べることができるようになってきたので、ああではない、こうではないということが言えるようになってきましたからね。業界的には、手を抜いたり、手間を省いたりできなくなっていることはいいことだと思いますが、料金にもシビアになっていることはきびしい面もあります。

 ただ、お客さんが相見積をしたいという場合、基本的にうちは手を引いているんです。最善の仕事でと見積もりをしているのに、他社の見積もりから料金と仕事内容で、ああではない、こうではないと言われるのは、不本意ですからね。自分たちの仕事には誇りと自信を持っていますから、お客さまに納得していただけると考えている。それに、もちろん、見積もりは無料ですけれど、現地調査をして、見積もりをするから、手間もコストもかかります。相見積になって、料金を下げるつもりもありませんから、そういうところで競おうと思っていないんです。

Chapter 2 自分の仕事に誇りがあるから、基本的に相見積をしていません

Chapter 3

子供ができて、結婚したので…… 必死で働き、1年で独立しました

  自分は塗装の仕事を始めて、1年で独立させてもらったんです。自分としては、必死だった。塗装業に転職しようとしていた頃、彼女に子供ができたんです。それで、授かり婚をしたんですが、自分の誕生日と入籍が1999 年7月13 日、長女が産まれたのが7月18 日。今年、娘は20 歳になるんですが、結婚20 年の磁器婚式、塗装職人歴もちょうど20 年になるんです。

 それで、何が何でも、塗装職人として一人前になって、稼がなければならないという思いが強かった。いま考えると無謀としか言いようがありませんが、焦りもあって、一年で独立することを決めました。最初は自信があったんですよ。塗ることにかけては一人前だと思っていたんですが、やっぱり、技術を持っていないことがわかってくる。でも、一本立ちしているわけですから、できないとは言えない。いまならネットに動画が転がっているので、調べることができますが、当時は現場で先輩職人さんたちを見て、技術を盗むしかない—塗りだけでなく、吹き付けもシーリング、防水もやらなければならない。何とかこなしていくなかで技術を身につけていきましたけれど、本当にたいへんでした。

Chapter 3 子供ができて、結婚したので…… 必死で働き、1年で独立しました Chapter 3 子供ができて、結婚したので…… 必死で働き、1年で独立しました

Chapter 4

セガレとともに、塗装職人として日々、成長していきたいと思います

 昨年4月から、セガレの愛斗と二人で仕事をしています。小さな頃から、跡を継ぎたいと言っていたんですが、やっぱり、嬉しかったですよ。セガレは中学1年生のとき、心肺停止になるほどの大きな交通事故に遭ったんです。歩けないと宣告されていましたが、後遺症はあるんですが、奇跡的に回復しました。回復するなか、現場に手伝いに来たりして、跡を継ぎたいという思いを強くしたみたいです。

 最初の頃、毎日のように現場で怒鳴っていたけれど、最近は二、三日置きくらいになっている。塗装だけでなく、自分がついたのは口うるさいというか、頑固な職人気質の親方ばかりだった。ただ、基本、愛情があったと思うんです。そのおかげですごく勉強になったので、息子のために、意識的にそういう親方でいようという。それに、家に帰ったら、親になるので、すごくやさしいんです(笑)。それに、自分の身になったら、家に帰ってきてまで、仕事のことを言われるのは、イヤですからね。それに、現場で具体的にここがよくないと言われたほうが、ちゃんと反省することもできると思う。

 自分が塗装業界に入った頃と比べて、ずいぶん状況が変わりました。塗料や道具もかなり進化してきていて、流通大手が外壁塗装を含めたリフォームに参入、料金もシビアになってきています。マイクロファイバーのローラーなんて、飛びはねが少なくて、きれいに仕上げることができる。また、塗料も二液性の性能が驚くほど上がりました。でも、やっぱり、基本に忠実なことが大切なんですよ。

 いくらいいローラーでも扱い方が雑だと仕上がりも雑ですし、二液性塗料は塗る直前に二液を正しい比率で混ぜないと、耐久性や密着性など、二液性塗料の持つ優れた性能を引き出せません。ですから、セガレに教えたいこともあって、必ず二液を重量計(スケール)を量って、攪拌機を使って、混ぜるようにしています。仕上がりは全然、違いますよ。二液性塗料は値段が高いので、塗装料金も一液性よりも高くなるだけに、せっかくの性能を生かして仕事していきたいんですよ。

Chapter 4 セガレとともに、塗装職人として日々、成長していきたいと思います
Chapter 4 故郷を愛する気持ちは強い。セガレとともに 美しい故郷のために働いていきたい

掲載日:2019/08/30

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