INTERVIEW

職人図鑑 #24 佐藤優気(25歳)

親父の働く背中を見てきて……将来の夢は独立です

Satoh Yuhki(age25)

Satoh Yuhki(age25)

株式会社近藤塗装勤務 1993年7月30日、東京都生まれ。都立六郷工科高等学校プロダクト工学科卒業後、塗装業界に入る。21歳で近藤塗装に転職。趣味はバイク

Chapter 1

最初は吹付け専門の塗装会社に就職したんですが……

 高校は工業高校の機械科に進みました。工業系の仕事に就きたかったので、さまざまな専門知識を学べると思ったからです。卒業のとき、普通のメーカーへの就職も考えたんですが、現場で働いて、手に職をつけたかったので、塗装会社に就職しました。塗装業界を志望したのは、何かを仕上げる仕事をしてみたかったということもあります。

 最初に就職したのは、吹付け工事専門の塗装会社、ガン屋でした。1年ぐらいして、ガンを持たせてもらうようになって……その会社で3年働いて、ある程度の技術は習得できたと思います。それで、刷毛やローラーなど塗る技術も身につけたいと思って、現在の近藤塗装に転職したんです。

 近藤塗装に移ったのは……中学の同級生の親の会社だったからです。ペンキ屋でいいところはないかと考えたとき、そのことを思い出して、直接、彼に連絡して、相談したんです。家から近く、もともと知っている地元の会社だったので、安心というか、心配がありませんでしたからね。

 それに、ボクより少し前から、小学校、中学校の同級生、石塚舞樹君もこの会社で働いていたんです。石塚君も含め、同年代で地元出身の社員が多いので、仕事もいろいろなところでやりやすいですね。一方、ベテラン職人の方もいます。こういう職人になりたいという目標が、身近にいるので、さまざまなことを学ばせてもらっているんです。みなさん、ボクとは比べものにならない、超絶すごい技を持っていますが、いつかは自分のものにしていきたいという。

 同じ塗装業界でも、ガン屋とペンキ屋では仕事の違いは、大きいものがありました。塗料や道具も違いますし、養生にしても大きな違いがあります。内装塗装ではすごくていねいに、きれいにやる必要がありますが、ガン屋は塗料の飛散が激しいので、広い範囲を養生しなければならない。ていねいさも必要ですが、大ざっぱでも、広くはやく養生していくことが肝心になります。

Chapter 1 最初は吹付け専門の塗装会社に就職したんですが……

Chapter 2

近く一級塗装技能士へ挑戦するつもりです

Chapter 2 近く一級塗装技能士へ挑戦するつもりです Chapter 2 近く一級塗装技能士へ挑戦するつもりです

 経験が2年ありましたので、最初から刷毛やローラーを持たせてもらえたんですが、最初は戸惑うことばかりでした。ただ、ガンで吹付け塗装をするよりも、刷毛やローラーで塗っていくほうが、仕上げていくことへの充足感が強く感じられました。仕事として、おもしろいという。ガン屋がつまらないわけではないんですが、自分にはこちらのほうが向いていると感じています。

 新しい道具、塗料を試してみることも、すごく楽しいんですよね。高校の機械科で学んでいた頃を思い出すというか、さまざまな工夫が施されているところを見つけると、喜びを覚えます。新製品に触れるだけで、新鮮な気持ちになる性分なんですよ(笑)。

 これまで、有機溶剤作業主任者、足場組立等作業主任者、高所作業車運転者を取得しています。すべて近藤塗装に入ってから取った、というか、取らせてもらいました。資格を持っていなくても仕事ができればいいとは思いますが、やっぱり、資格取得は仕事への励みになります。

 それに、ありがたいことに、会社が時間的、金銭的に援助してくれていますので、機会があれば、他の資格も取っていきたいと思っています。たとえば、一級塗装技能士は受検資格の実務経験7年以上を満たしていますから、来年にでも挑戦しようと考えているところです。

Chapter 3

自分の仕事がかたちとして残ることは嬉しい

 この仕事を続けてきて、改めて思うことは……充実感、達成感を感じるのは、外壁塗装でも、内装塗装でも、自分のやったことがかたちとして仕上がっていくことを、目の当たりにできるところです。もちろん、仕上がりに満足できず、いろいろ反省することもありますが、そういうことも含めて、この仕事のおもしろさを感じているんです。

 やっぱり、自分の仕事がかたちとして残ることは嬉しいことです。いつもではありませんけれど、たまに現場写真をビフォアー、アフター的に撮影することもあります。足場が組まれたとき、作業に入ったとき、作業中盤、そして足場を外して仕上がりの全貌があらわれるとき……それを、仲間うちで見せ合ったりすることもあります。仕事好きな連中ばかりなので、盛り上がりますね(笑)。

 いまのところ、この会社をやめることは考えていないんですが、もしやめるとしたら……独立するときかと思っています。というか、いま具体的に考えているわけではありませんけれど、高校卒業後、塗装業界に入ったときから、独立することは頭にありました。それに、ガン屋をやめて、ペンキ屋に移ったのも、そういうことが理由のひとつでしたからね。

 独立独歩、自分の会社をつくることは、ずっと自分のなかに将来の夢としてあります。うちの親父は鍵屋なんです。解錠や鍵の取り付けなど、独立して仕事をしています。

 そういう親父の働く背中を子供の頃から見ているので、いつの日からか、自分も手に職をつけて独立したいと考えるようになりました。そういえば、昔、親父に仕事を継ごうかと伝えたことがあります。でも、「お前はムリだ」とあっさり言われてしまった。ボクは不向きと判断したんでしょうが、鍵の業界も機械式だった昔と比べ、仕事環境がきびしくなっていることも考えてのことだったのかもしれません。ムリと言われた意趣返しではないですけれど、塗装業界のほうが未来があるのではないかなあと考えるようにしています(笑)。

Chapter 3 自分の仕事がかたちとして残ることは嬉しい Chapter 3 自分の仕事がかたちとして残ることは嬉しい
近藤塗装は1970年の大阪万博で「太陽の塔」の赤を塗装した実績もある、創業50年の老舗。塗装業界の未来のため、若い職人を正社員として積極的に採用しているという

Chapter 4

将来の夢に向かって進んでいるところです

 趣味はバイクです。16歳になってすぐ原付免許を取得、1年ほどバイトをしてお金を貯めて中型免許を取りました。乗っているのは、HondaのXELVIS、ゼルビスVT250FN。20年以上前に生産中止になった、スポーツバイクです。以前は丹沢のヤビツ峠など、峠道をよく走っていたんですが、最近は整備ばかりで、あまり乗っていません。

 いつか、バイク塗装もやってみたいとも思っています。ただ、普段の仕事ではバイク塗装用のスプレーガンは使いませんし、仕事にしようとは考えていませんけれど……それに、大型免許もほしいし、大型バイクも乗ってみたい――趣味として、いつか実現したい将来の夢ですね。

 結婚はまだです。そもそも、彼女も2~3年いないんですけれど……一人も一人でラクですからね。いまは仕事を中心に考えていこうという。やっぱり、家庭は持ちたいんですけれど、結婚は巡り合わせですので、急いでも仕方がありませんからね。

 自分の将来がしっかり見えてくるときが、そのタイミングのような気がしています――とりあえず、仕事と趣味、二つの夢を実現させるために、頑張っていきたいと思います。

Chapter 4 将来の夢に向かって進んでいるところです
Chapter 4 ガン屋からペンキ屋へ――仕事がかたちに残るのは同じだどこまでも塗装の男でありたい。

掲載日:2018年12月10日

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