INTERVIEW

職人図鑑 #23 金子祐太(34歳)

いまの会社で勤めあげたいと思っています

Kaneko  Yuhta(age34)

Kaneko Yuhta(age34)

有限会社はっとり建装勤務 1985年2月19日、東京都生まれ。中学卒業後、運送助手などを経て、一度塗装業界へ入るが、板金業へ転職。その後、はっとり建装へ入社。趣味は釣り

Chapter 1

足立区出身なのでペンキ屋さんに親しみがありました

 はっとり建装に入社したのは……自分の家は会社の目の前にあるんですが、たまたま前に住んでいた家の近所の方が社長の知り合いだった。それで、その方が紹介してくださったんです。17歳のときのことでした。

 中学を卒業してから、運送助手や板金で働いていましたが、自分はもともと足立区出身なんです。足立区といえば、ビートたけしさん、北野武さん。たけしさんのお父さんはペンキ屋さんですので、親しみを持っていたんです。ペンキを塗っているのを街で見ていると、楽しそうだなあと感じて、自分でもやってみたいと思っていたんです。

 本当のことを言うと、運送助手の後、一度、ペンキ屋さんで働いたことがあるんです。でも、刷毛やローラーを持たせてくれるまで、2〜3年はかかるというんです。下働きばかりでイヤになってしまったうえ、その会社は家からバイクで30分くらいかかっていたので、早起きがつらくて……それで、1年少しで板金に転職してしまったんです。板金塗装も、仕事のひとつにありますからね。

 それが、いまの会社をたまたま紹介されて……現場に向かう集合場所は会社ですが、会社は家の目の前ですから、ずいぶんラクなんです。それに、すぐに刷毛、ローラーを持たせてもらって、塗りの仕事もやらせてもらえると聞いたので、もう一度、チャレンジしてみようと思ったんです。

Chapter 1 足立区出身なのでペンキ屋さんに親しみがありました

Chapter 2

いちばんきつかったのは、足場を組むことでした

Chapter 2 いちばんきつかったのは、足場を組むことでした Chapter 2 いちばんきつかったのは、足場を組むことでした

 はっとり建装での最初の現場は、たしか服部訓社長の家でした。初めて塗りの仕事をやらせてもらって、すごく緊張していたんですが、少しラクな気持ちになったのを覚えています。甘えてしまっていたのかもしれませんが、身内みたいな現場ですからね。社長も先輩職人さんたちも手取り足取り、塗り方を教えてくださったことが記憶に残っています。

 1年間、ペンキ屋で働いていた経験がありましたから、塗りの仕事は初めてでしたが、養生や下地づくり、下働きをしていたことが生きてくる場面もありました。

 逆に、以前の職場とは作業のやり方に違いがあって、戸惑うこともありましたが、すぐに職場に溶け込むことができたような気がします。この会社に入って、もう17年。すごく居心地がいいんです。

 一方、きつかったのは……当時、足場は自分たちで組んでいたんですけど、自分は高いところがそれほど得意ではないんです。足場を徐々にパイプで組みながら、クランプをボルトで締めていく。パイプもクランプ、ボルトも軽くはないですし、高いところでぐらぐらすることもあって、何度も怖い思いをしました(笑)。ただ、少しずつ慣れていきましたし、いまは業者さんが足場をしっかりと組んでくれますからね。高いところでの塗装作業も全然、大丈夫です。

Chapter 3

塗装という仕事の奥の深さを改めて感じています

 一人で現場に行かせてもらえるようになったのは、18歳のときでした。18歳になってすぐに運転免許を取ったら、親方に「明日の現場は一人で行ってこい」と言われたんです。そのときは、本当に嬉しかった。もちろん、親方はそのときの自分の技量を見きわめて、できるだろうと思った現場に行かせたんでしょうが、一人前になった気分になれました(笑)。

 本当の意味で一人前になるには、もちろん、もっと技術、技法を身につけていかなければならないことは、わかっていました 。でも、塗装職人としての明日が拓けたと思いました。

 最初のうちは、ある程度のことを覚えれば、その応用でたいていのことはこなせると考えていたんですが、この仕事はとても奥が深いんですよね。人並みにできるようになっても、自分が本当に満足できる、納得できるレベルまでいくのはむずかしいと思います。

 養生にしても、奥が深い。最初の塗装会社では大切なことだとはわかっていましたが、塗るようになって、これほど奥が深いとは気がつかなかった。いま使っているテープはNo.6800と正宗。この2本でだいたい、すべての養生に対応しています。いろいろ新製品も出ていますが、自分はどんな道具でも、これと決めたものを使いこなしていくことが好きなんです。貼り方をはじめ、工夫のしどころはたくさんありますからね。もちろん、試用品をいただけるのなら、試してみますけど(笑)。

 親方的な立場を任せられるようになったのは、5~6年前からです。それで、会社から一級塗装技能士を取るように言われているんですが、自分自身は資格云々ではなく、相応の技能を持っていればいいと思うんです。取得している資格は、ゴンドラ操作者と有機溶剤作業主任者ですが、仕事で必要になって取ったものです。本当に必要になったときに、挑戦しようとは思っていますけれど……。

Chapter 3 塗装という仕事の奥の深さを改めて感じています Chapter 3 塗装という仕事の奥の深さを改めて感じています

Chapter 4

金物塗装には自信があるんです

 ずっと、マンションのガスなどメーター塗装を専門にしていたんです。某大手マンションシリーズを担当していたので、検査も厳しいので、金物塗装の腕は鍛えられました。1棟数百戸のマンションもありましたから、比較的、工期は長い。ケレン、養生、塗装……同じ作業の繰り返しになるわけですが、仕事として単調かというと、必ずしもそうでもないんですよ。

 作業、工程にいろいろな工夫をすることを考えて仕事をすると、何らかの発見があるんです。汚れやサビ、前の塗装にしても、さまざまなタイプがありますから、どうすればいちばん効率的に作業を進めることができるのか? そういうことを考えて仕事をすると、おもしろい。10年以上もやっていたので、建築塗装で金物にはとくに自信がありますね。

 独立はあまり考えていません。独立した仕事仲間に話を聞くと、勤めていたほうがいいと言う人が多いですからね。経理や営業などの仕事には自分は向いていないと思います。現場仕事が好きですし、経理や営業のことを考えただけでも、めんどうな気持ちになってしまいます(笑)。

 ですから、できたら、いまの会社で勤めあげたい。いまのところ、少しでも社長の力になって、会社を大きくしていけたらと考えています。

Chapter 4 金物塗装には自信があるんです Chapter 4 金物塗装には自信があるんです
Chapter 4 好きなテープは№6800と正宗。気に入った道具を使い込むのが仕事の流儀――工夫は無限だ

(2018年12月10日)

金子さんの下で働く木村章生さん(右/23歳)、吉満亮太さん(左/22歳)

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