INTERVIEW

職人図鑑 #12 白井悟(39歳)

将来に向けて、いま挑戦しているところです

Shirai Satoru(age39)

Shirai Satoru(age39)

HOPE’S(ホープ・エス)代表 1979年7月7日、大阪府生まれ。高校卒業後、父が経営する白井建装へ入社。職人歴21年。2014年に独立、HOPE’S代表として新たな塗装分野に挑もうとしている。趣味はドライブ。

Chapter 1

兄弟3人、塗装業界で働いています

Chapter 1 兄弟3人、塗装業界で働いています

 高校卒業後、父が経営していた平井建装という会社に入社しました。3人兄弟の次男なんですが、2歳上の兄も3歳下の弟も高校卒業後、父の会社に入っているんです。みんな家業の塗装という仕事が好きで、というわけではないんです。兄は跡を継ぐためだったんでしょうが、ボクと弟は別の仕事に就きたい気持ちもあったんですが......高校3年生のとき、 父がガンで倒れて、余命3か月を宣告されたんです。何人も職人さんを抱えていたので、兄を助けて、父の会社を守ろうと思ったんです。幸い、手術が成功して、余命3か月ということはなかったんですが、7年後、再発して亡くなりました。

 倒れてから、父は以前のようには働けなかったので、あまり直接、仕事を習うことはありませんでした。ただ、仕事のノウハウというか、この仕事に対する基本的な考え方というか心構え、スタンスは教わりました。いちばん印象に残って いるのは、「将来、親方になりたいのだったら、他の人の3 倍は働け」ということ。

 仕事を始めてしばらくしてから、自分でやりたい、いずれ独立したいという気持ちはありましたからね。父もボクの気持ちを察してくれていたんだと思います。
Chapter 1 兄弟3人、塗装業界で働いています

Chapter 2

独立したのは、新しい挑戦をするためでした

 独立したのは、4年前です。ただ、兄と弟と仲違いしたわけではありませんよ(笑)。もともと、独立志向があったんですが、白井建装で扱っている仕事よりも幅広く塗装の仕事がしてみたかったんです。社長を務めている兄もボクの気持ちを理解してくれて、「最悪、戻ってきたらえんやからな」と快く送り出してくれれました。現場はいま、弟が回しているんですが、仕事や人手を融通しあっていますしね。  

 独立してやってみたいと思った仕事は......ずっと戸建てをメインにしているんですが、例えば、最近、人工大理石が建材としてよく使われていますが、汚れた場合、クリーニングや研磨をしてから、保護塗料でコーティングする必要があります。でも、普通の塗装業者はそういう仕事はあまりやらないんです。他にも、風呂場や窓の面格子、雨樋など、エクステリア全般の特殊な塗装仕事はたくさんあるんですよ。

 でも、特殊なテクニックも必要になるので、これまで約20年、身につけてきた塗装技術では対応できません。一から学ばなければならないんです。でも、会社にいたら、社員の一人として、日々の仕事を優先しなければならない。また、会社のなかにいると、失敗が怖いから、新しい挑戦はなかなかできませんからね。手間、コストも含めて、さまざまな課題をクリアさせなければいけませんが、会社には迷惑をかけたくなかったんですよ。自分一人なら、失敗したダメージも自己責任ですからね。  

 新しい技術を学びながらになりますから、いまはお金よりも、経験を優先させています。でも、新しい挑戦に手応え、やり甲斐は感じているところです。

Chapter 2 兄弟3人、塗装業界で働いています

Chapter 3

シンプルに全部、 きれいにしたいと思う

Chapter 3 シンプルに全部、きれいにしたいと思う

 エクステリア全般の塗装をやっていきたいと思ったきっかけは……すごくシンプルなんです。例えば、外壁塗装の仕事をしているときに、アルミの窓格子があったら、養生して作業をしますが、窓格子が経年劣化していることもあるんですよ。仕事の範囲ではないんですが、きれいにしてあげたいなあと思ってしまう。もともと、そういう気質なのかもしれませんが、いろいろなところに目がいってしまって……全部、きれいにしたいという自分の気持ちに正直になって、仕事をしていきたいと思うようになったんです。  

 建築塗装の仕事には「これは塗れますけれど、これは塗れません」という制限があるんですよ。いや、塗れないことはないんですが、塗料や道具を変えなければならないので、手間やコストがかかって、わりがあわなくなってしまう。例えば、窓格子のアルミは金属ですから、車輌塗装用のような強い溶剤の塗料を使わなければならないんです。そうなると、外壁塗装とは違う技術も必要ですからね。かといって、車輌の塗装と同じかというと、塗装の前作業の汚れ落としのケレンとかも、クルマと窓格子では全然、違いますからね。養生用のテープもケースバイケースでいろいろ試しています。
Chapter 3 シンプルに全部、きれいにしたいと思う

Chapter 4

塗装道具には人一倍、こだわりがあります

Chapter 4 塗装道具には人一倍、こだわりがあります
右は宮本直幸さん(33 歳)。以前、白井建装で働いていた

 よく使っているマスキングテープは「スーパーサスケ」です。リニューアルする前の「サスケ」も手離れ(引き出し感)がよくて気に入っていたんです。剥がすときの紙切れが少なくなったそうですが……そのぶん、手離れがちょっと悪くなったような気もして、前の「サスケ」のほうが使い勝手がよかったようにも思います。外壁、内壁塗装併用になったそうですが、ボクは使い分けたいので、スーパーサスケは内装塗装で使っています。外壁塗装は「弁慶」と3Mさんの車輌塗装用の「343」。ともに素材が和紙なので強くて紙切れがしにくく、色味も見切れがいいんです。  
  仕事道具は体に合う、合わないということがあるんですよ。

 テープでも、いろんな作業のなか、気持ちよくできる、できない感覚がある。素材、糊料などによるんでしょうけれど、自分の仕事のリズムに合うものがいちばん、いい。ですから、作業内容や自分の感覚と相性のいい道具をいろいろ試しているところです

 仕事を始めた頃はそんなに道具へのこだわりはなかったんですけれどね。 10年いくら経ってから、さまざまな現場、仕事を経験して、やっと一人前の塗装職人になれたというか、自分なりの仕事のリズムをつかめた頃、塗料やテープなどの養生用具、刷毛やローラーなど、道具がすごく大切だと気がつきました。ある意味、自分に合った道具を見きわめられるようになってきたんです。それで、新製品を含めて、いろいろ試してみるように心がけています。

Chapter 5

40代が勝負どころと考えています!

「HOPE’S」は「ホープ・エス」と読みます。「自分が希望を持ち続けられるように/お客様からの期待に応え続けられるように」という気持ちを込めて名づけました。まだ個人事業主なんですが、軌道に乗せて、会社組織にしていこうと考えています。40代になってからの2〜3年後が目途、30代で技術をしっかりと身につけて、40代で勝負していきたいんです。

 独立してから4年経ちますが、正直、普通の仕事をこなしていくことで、いっぱいいっぱいなところです。

 ですから、まだ思うような仕事はできていないんですけれど、時間を見つけながら講習会に通うなど勉強して、少しずつ技術を身につけているところです。ただ、一方、考えているような仕事だけでは経営はなりたちませんから、外壁塗装、内壁塗装もしっかりとこなしながら、基盤をしっかりさせて、後継者も育てていきたい。

 全部、同時進行していかなければならないんですが、しっかりと目標を立てて、前に進んでいきたいと考えているんです。

Chapter 5 40代が勝負どころと考えています!
Chapter 4 塗装業は天職です

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