INTERVIEW

職人図鑑 # 42 相馬 純(40歳)

両親から引き継いだ家業を大きく成長させている。塗装職人であると同時に立派な営業担当でありたい!

Souma Jun(age40)

Souma Jun(age40)

昭和56年2月13日生まれ。塗装職人の両親に育てられて“現場をゆりかご”に育った。経営を担うようになってから、営業企画の重要さを痛感。アイデアと戦略でお客様の信頼を得て会社を急成長させる。一級塗装技能士の他、ファイナンシャルプランナー、自然災害診断士窯業サイディング塗替診断士など多くの資格を持つ。家族の絆が会社躍進の言動力だ。
有限会社相馬工業

Chapter 1

両親は、父母ともに塗装職人です。現場をゆりかごに育ち、家族皆の思い出が現場にあることが、自慢だし誇りです。

 両親は父母共に塗装職人です。母親の背中におぶさりながら現場にいたような記憶があります。だから僕は、本当に現場をゆりかごに育ったんですね。

 ものごころがつく前から、現場で遊んでいました。そういう時代だったんですね。赤ん坊だった弟が、ペンキを塗っているお客様の家の押し入れでミルクを飲んでいる光景が、記憶に残っているくらいです。

 目じりのこの傷は、少年時代に現場でぶつけて作った傷です。

血が流れてその時は大騒ぎ。養生用のテープでもよく遊びました。懐かしいですね。

 父だけでなく、母親もまた塗装の職人という家に育った人は、なかなかいないかもしれません。職人仲間にも驚かれることがあります。母はまだ、足場がタルキ(足場を組む素材が木製)だった時代から、足場を組んでペンキを塗っていました。両親、弟、姉、そしてファミリー全員。これが僕の会社です。これは自慢だし、わがファミリーの誇りです。

Chapter 1 両親は、父母ともに塗装職人です。現場をゆりかごに育ち、家族皆の思い出が現場にあることが、自慢だし誇りです。 Chapter 1 両親は、父母ともに塗装職人です。現場をゆりかごに育ち、家族皆の思い出が現場にあることが、自慢だし誇りです。

Chapter 2

地域密着に徹底してこだわった仕事が、お客様からの絶対の信頼を勝ち得ることに直結する。

 もともと両親が営んでいたのは、小さな下請けのペンキ屋さんです。自宅の2階の一室が事務所でした。下請けといいましたが、実際は下請けの下請けですね。だから、18歳で正式にこの道に入った自分も、最初は当然、下請けの下請けの職人でした。

 当時は営業担当はいなくて、すべての仕事をハウスメーカーさんや元請さんから頂いていました。

 そんな中で、現場でペンキを塗っていると、お客様たちとふれ合うことがある。会話をする。言葉を交わす。そのたびに、「お客様とふれ合うのは、楽しいなあ。やりがいを感じるなあ」と、いつも感じていました。むろん仕事には誇りをもって、いつも良い仕事を心がけていましたよ。この仕事を、直接お客様に喜びとともに届けたい!そう思うようになったんです。

 一念発起して営業修行を始めた20代。職人である自分が営業を覚えることで、会社がぐんぐん伸びていった。

  そんな中で――どうやったらお客様に、さらに良い仕事をお届けできるんだろう…、もっと喜んでもらえるんだろう…、より満足してもらえるんだろう…と、毎日現場で考えていると、「よし!これは、職人である自分たち自身が元請けになるしかない」と思い至るようになりました。一念発起です。

 もともと僕は、人と仲良くなることが大好きです。初対面の人と会話をするのも得意でした。しかし、それまで営業の仕事をやったことはありません。さあどうしよう。考えあぐねていた時に、営業の師匠と言える人と知り合いました。

 その人は、大手リフォーム会社から独立した営業の専門家です。現場でペンキを塗っていた僕に、「相馬くん、キミには営業職が向いているかもしれなにぞ」と言っていただき、僕は志願して、その人にくっついて、無給でカバン持ちをしながら、営業ノウハウを学びました。

Chapter 2 地域密着に徹底してこだわった仕事が、お客様からの絶対の信頼を勝ち得ることに直結する。 Chapter 2 地域密着に徹底してこだわった仕事が、お客様からの絶対の信頼を勝ち得ることに直結する。
会社の事務を統括している姉の梨絵さんも、スタートは女職人でした。

Chapter 3

お客様の望むことを職人として突き詰めて考える。すると、営業としてやるべき仕事が見えてくる。

 お客さまが喜んでくれる仕事とは、一言でいうと“きれいで、安価である”ということです。それも良い材料を使って、何年も美しさが保たれる力強い仕事――。

 そのためには、やっぱり現場で実際の仕事を請け負う自分たち自身が、“受注して~仕事をして~完成した姿をお客様にお届けして~保証する”。そういうシステムを、会社として構築することが必要だと思いました。

 うちの会社は、徹底して地域密着にこだわった塗り替え専門の会社です。地域に密着することで、現場までの移動時間を抑えることができ、すなわち料金設定を安くすることができます。一つ一つの仕事がお客様の口コミとなり、自分たちの仕事の看板になり、つぎつぎと広がっていきます。

 塗装技術と塗料にも、専門店としてのこだわりを持っていますよ。 多くの地元のお客様に気軽にご相談をいただけるように、ショールームも、地元大手スーパー“イオン/マックスバリュー”の一角に設けています。この場所も、自分がパワーポイント(説明のためのコンピューターツール)を使ってプレゼンしたんですよ。いつも頭にタオルを巻いて職人姿で働いている僕が、その時だけはスーツを着ました。

 塗装の仕事は、ペンキを塗るだけじゃなく営業もふくめたトータルで“塗装の仕事”だと僕は考えてます。現場は弟、経理は姉、僕は経営と営業。従業員の方達もいる。今はそれぞれが仕事を分担して家業を発展させています。

 つい先日、ずっと目標にしてきたのですが、フェラーリを買うことができました。塗装の仕事には夢がある。アイデアとやる気と戦略で未来が作れる――そう思って今日も働いています。

※仕事現場では常にマスクを着用していますが、写真のためにマスクを外して、適切なソーシャル・ディスタンスを取って、撮影しています
Chapter 3 お客様の望むことを職人として突き詰めて考える。すると、営業としてやるべき仕事が見えてくる。 Chapter 3 お客様の望むことを職人として突き詰めて考える。すると、営業としてやるべき仕事が見えてくる。
Chapter 3 眩しい平家の太陽に白いタオルがよく似合う。家族で力を合わせていけば、もっともっと塗装の仕事は成長していく。
美容師がヘアをスタイリングしていく感覚で、お客様のペンキの希望をかなえていく、という相馬さんの私服は、まるで美容業界の人のようだ。

掲載日:2020/10/6

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